名前の由来

カーボンブラシという名前から、カーボンペーパーやカーボンファイバーと勘違いされがちですが、紙や繊維ではなく炭素(カーボン)を使用したブラシと言う意味でカーボンブラシと呼ばれています。 しかしながら、ブラシという名前からは、歯ブラシや絵筆のような毛を束ねたものを想像してしまいますが、モーターの歴史にその答えを見つける事ができます。

19世紀中頃に発明された初期のモーターや発電機では、銅の線を束ねた刷子(銅編みブラシ)の様なものが使用されていました。 その後の発明により、黒鉛(カーボン)を使用したブロック状のかたまりに置き変わりました。それゆえ、部品の名称として「ブラシ」という名が残り、カーボンブラシと称され続けています。

カーボンブラシの役目

カーボンブラシは、モーターや発電機の回転する部分に接触して、摺動しながら通電する機能を発揮します。使用目的から大別すると、直流モーター等に用いられる整流用カーボンブラシとスリップリングに用いられる集電用カーボンブラシに分けることができます。整流用カーボンブラシは電流を伝える役目のほか、火花の発生を抑制する整流性能を必要とされます。一方、集電用カーボンブラシは回転しているスリップリングへ通電することが役目です。

カーボンブラシの材質

材質製造方法主な用途備考
電気黒鉛質原料を焼成した後、さらに高温(2500℃以上)にて黒鉛化を行う大型・中型の産業用モータ高価
天然黒鉛質天然黒鉛を主原料として焼成する高速スリップリング低摩擦
炭素黒鉛質人造黒鉛を主原料として焼成する電動工具、小型交流機負荷、振動、ブレーキ、雑妨
樹脂結合質合成樹脂を結合材として樹脂の硬化温度で熱処理する電気掃除機、小型直流機高速
金属黒鉛質金属粉末と黒鉛粉末を混合して焼結させる電装用モータ、小型直流機低抵抗率

黒鉛の特徴

化学的

軽い。鉄などの様に錆びない。
高温になると溶けずにゆっくり燃える。

機械的

摩擦が低く、滑りが良い。

熱・電気的

金属の様に、熱と電気を良く伝える。

こんなところにカーボンブラシ

車載用

パワーウインド、スタータ、ワイパー、パワーシート、スライドドア、ルーフ など

電動工具用

グラインダー、ドライバ、ドリル、チェーンソー、ハンマードリル など

家電用

掃除機、ジューサーミキサー、ドライヤー、ミシン、ポンプ、高圧洗浄機 など

産業用

架線用集電子、スリップリング、一般直流機、産業モータ など

マイクロモーター用

OA機器、玩具、ドアミラー、ドアロック など

製造工程